商売は原料から販売まで含めての総合力|初代中村忠三郎
原料が一等品でも、織り手の腕が三等級では、三等級の商品にしかなりません。どんなに良い糸を使っても、織り手が丁寧さを欠いたり油断をしたりすれば、すぐに三等級のものになってしまいます。
また、原料が一等品で、織り手が一等級でも、売り手の心が三等級では、買っていただくお客様は幸せにはなりません。商品の良さよりも欲が先に出てしまい、商品の値打ちを下げてしまいます。
これは、絹や麻に限らず、どのような分野でも同じことです。
ものづくりや商いというものは、原料が良ければあとはどうでもよい、どこか一部分だけが優れていればそれでよい、ということでは断じてありません。川上から川下、お客様の手元に渡って実際に使ってもらうまで、ぴしっとしてんとあきません。
最後の出口となる私どもは、そこまでの商品にしてくれた人たちに感謝して、一番ぴしっとしてんとあきません。
心して、きょうも、おきばりやす。