蚕の一生 産卵から繭 羽化まで
おはようさん(養蚕)どす。京都西陣絹糸問屋・中忠商店のWEB番頭でございます。
さて、本日はお蚕さん(カイコガ)の一生について解説いたします。
卵から孵化したお蚕さん(カイコガ=家蚕=マルベリーシルク)が繭をつくり、繭から羽化して成虫になり産卵するライフサイクル。
もくじ
1.卵から生まれるまで
2.幼虫期(1齢から5齢)
3.繭をつくる、繭ですごす
4.羽化して成虫になる
卵から何日で生まれるの?生まれてから繭を作り始めるまでは何日ぐらい?繭のなかでどのくらい過ごすの?など実際の日数と合わせて、京都西陣絹糸屋の番頭・TES(繊維製品品質管理士)が解説いたします。
1.卵から生まれるまで
蚕の卵は通常10日から2週間で孵化します。生まれたばかりの幼虫は頭が黒くからだが小さい(体長は約3mm)ため「蟻蚕(ぎさん)」と呼ばれたり、体が細かい毛におおわれていることから「毛蚕(けご)」と呼ばれています。
2.幼虫期(1齢から5齢まで)
孵化してから3日から4日で蚕は「1齢幼虫」の期間を終えます。蚕はじっと動かなくなり眠ったようになり(1眠)脱皮します。
脱皮した「2齢幼虫」は3日程度でまた眠(みん)の状態に入ります(2眠:1日)。2回目の脱皮をして「3齢幼虫」になります。
3齢幼虫は約3日で3眠(1日)を迎え、脱皮して4齢幼虫になります。4齢期間は少し長く、6日前後で4眠・脱皮を迎えます。
5齢幼虫は8日ぐらいすると体が透き通ってきて(熟蚕)、繭を作り始めます。ここまでで約30~36日の日数となります。生まれてから約1か月で繭を作り始めるイメージです。この幼虫期、「眠」の時間を除き、ほぼすべての時間で桑の葉を食べ続けています。
3.繭をつくる 繭ですごす
繭をつくりはじめた5齢幼虫は約3日間、休むことなく口から絹糸をはき続け繭を作ります(営繭:えいけん)。1分間に約20cmのゆっくりとしたスピードながら、最終的には1,200m~1,500mの繭をつくりあげます。
繭をつくり終えると、蚕は蛹(さなぎ)になって、約2週間を繭のなかで過ごします。
この無防備で身動きの取れない期間を、快適かつ安全に過ごせるよう絹糸には様々な特性が備わっています。※シルクの特徴についての記事はこちら。
4.羽化して成虫になる そして次代へ
繭のなかで2週間をすごした蚕は、いよいよ羽化して成虫になります。
成虫になったカイコガは、数日のうちに交尾して産卵し、その命を終えます。
カイコガが生む卵の数は500個から700個で、次の代に命をつないでいきます。