こんにゃく糊付け加工

こんにゃく糊付け加工とは

中忠商店では、福知山市大江の自社工場にて、絹糸・麻糸・綿糸その他天然繊維の糸に「こんにゃく糊付け」サイジング・コーティング加工を行っております。



一本一本の糸にこんにゃく糊をコーティングする加工で、糸の毛羽立ちを押さえ、特有のハリとコシを与え、後工程(染色、製織、編立)での取り扱いをより容易にします。

加工前と加工後では糸の風合いはこのように変わります。(麻:ラミー 60番単糸の加工前後比較)

こんにゃく糊付け加工前 こんにゃく糊付け加工後

さらに染色性・発色性の乏しい麻糸や綿糸については、独自の加工法で糸表面を均一平滑にし、染色性を向上させるとともに、鮮やかな発色・光沢を可能にします。

こんにゃく糊付け加工糸は、古くから近江上布、能登上布、小千谷縮などの高級伝統織物に使用され、近年ではその特殊性から国内・海外のテキスタイルメーカーやトップアパレル、各種ニッター、若手の染織作家の方にもご使用いただいております。


なぜこんにゃく糊なのか

こんにゃく糊を使用する理由は何といっても天然成分由来であり、天然繊維との相性がよいことが挙げられます。

天然繊維には特有の糸むらや糸の特性があり、合成糊などでは粒子が大きく、均一にコーティングすることができません。
また、合成樹脂(ポリマー)ではせっかくの天然繊維の特性を損なってしまうため、天然原料であるこんにゃく糊を使用した加工を行っております。

大江工場では、高級こんにゃく粉(食用転用も可能)を原料として、気候や使用糸に合わせた調合を行い、肌にも環境にも優しい加工を実現しております。

また、当社のこんにゃく糊付け加工では、独自の後加工の工程を経ることで、糸からの剥離を最小限に抑えることができ、コーティングの利点を最終製品とその実際の使用に至るまで最大限に保持することができます。


自社工場での加工

現在、この「こんにゃく糊付け加工」を行うことのできる工場は国内では数件となりました。

大江工場では、現在でもこんにゃく糊の配合や投入原糸の検査、必要に応じて前工程での糸の捲き直し、加工機械の常時管理、乾燥、加工後の糸ほぐしと繰り直し、ひびろとりから最終目視検査に至るまで、すべて人の手と人の目を介して加工を行っております。

こんにゃく糊付け加工風景 こんにゃく糊付け加工風景 こんにゃく糊付け加工風景


過去には近代化の流れから、自動機加工を試験的に取り入れたものの、やはり品質面での安定に難があり、人的管理に戻した経緯があります。

天然繊維・天然素材には、「天然」ならではの微妙な糸むらや温度変化・湿度変化による糸状態の変化があり、それに細やかに対応していくには、やはり人の感覚が必要です。

機械化できる工程は機械化し、あえて機械化しない部分を残して並存させる「スローテクノロジー」を選択することで、効率よりも品質を優先した加工を行っております。

こんにゃく糊付け加工風景 こんにゃく糊付け加工風景 こんにゃく糊付け加工風景


あえて機械化しない部分を残すことにはもう一つ理由があります。

それは中忠商店の「商売の原則」に基づく、「売って終わり」ではない取引の原則に由来する理由で、単に「加工して終わり」「出荷したらそれで終わり」ではなく、その後の加工工程や最終製品のこと、お客様に製品がわたるまでのことを考えて加工することが必要だからです。

具体的に言えば、その後の染工場で糸を開いたときの取り扱いが容易になるようにまとめておくこと。逆毛羽で投入された糸については、順毛羽に捲き直してから加工し、コーティング効果を最大限に発揮させること。最終目視検査で節を見つけて除去結び直しをすることで生地織上り時の不良部分を最小限に抑えることなど。

誰から指示されたでもなく工場で自主的に行っている「原則に基づく習慣」を継続していくために、機械化せず人の目と手、心配りを残した加工を行っております。

こんにゃく糊付け加工風景 こんにゃく糊付け加工風景 こんにゃく糊付け加工風景


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